ここでは、【相続税路線価(そうぞくぜいろせんか)】についてご説明していきます。
土地の値段は4種類ある
なんのこっちゃ?って感じだと思いますが、順番に説明しますね。
日本では、ある「土地」に対して、4人のひとが値段を付けています。
付けたひとが誰かによって、値段の呼び方が変わります。
このため、土地の値段は4種類できてしまっているのです。(これを「一物四価(いちぶつよんか)」などと言います)
リストにすると下記のとおりです。
名前 | 値付け人 | 目的 | 価格の水準 |
①実勢価格(時価) | 土地を買う人 | 土地の購入 | - |
②公示価格 | 国土交通省・都道府県 | 購入の指標にする | 100% |
③相続税路線価 | 国税庁 | 相続税の課税 | 80% |
④固定資産税評価額 | 市町村 | 固定資産税の課税 | 70% |
このなかで、①の実勢価格(時価)が、いわゆる普通の「価格」です。
「この土地を1億円で売るよ」という人と、「1億円で買うよ」という人がいて、売買が成立すれば、その土地の価格は1億円ですねということになります。
これに対して②~④はちょっと違います。
②公示価格と④固定資産税評価額については別途記載しますね。
相続税路線価(そうぞくぜいろせんか)とは
相続税路線価というのは、その土地の相続税を決めるために、土地に面した道路に付いている値段です。
相続税路線価とは、土地の相続税を決めるために、道路に付いている値段
http://www.chikamap.jp/chikamap/Portal?mid=216
この「全国地価マップ」から「相続税路線価等」をクリックして、規約に同意し、住所を入力すれば、その土地の相続税路線価を調べることができます。
たとえば、調べたい土地が、この図の左側にある「215D」の道路に面しているとします。
この数字「215」が千円単位の相続税路線価を示していますので、この土地の相続税路線価は「215,000円/㎡」になります。
その土地の広さが100㎡だとすると、その土地の【相続税を計算するうえでの価格】は
215,000円/㎡ × 100㎡ = 21,500,000円
になります。
なぜ相続税路線価が重要なのか
相続っていうのは要するに家族が亡くなって、その土地を引き継ぐときの話ですから、日常生活にほとんど関係ないのでは?とも思われます。
しかし、不動産業界ではこの相続税路線価は非常に重要な指標として機能しています。
その理由は、金融機関(銀行)が評価(融資)の基準にしていることが多いからです。
相続税路線価は、多くの銀行が土地の評価の基準にしている
先ほどの土地であれば、銀行からみたその土地の評価は2,150万円であるということです。
なので、あなたがその土地をローンで買いたいと思っていて、売値が2,500万円だったとしても、銀行からは2,150万円までしかローンが出ない可能性があります。
また、仮にローンが組めて2,500万円の借金をして土地が買えたとした場合、他の銀行からみたら
資産 2,150万円 - 負債 2,500万円 = ▲350万円
という、350万円の債務超過をかかえている人、とみられてしまう可能性があります。
このため、不動産業界のプレイヤーの多くは相続税路線価を用いて簡易的に「積算価格」を算出してから取引に臨んでいるのです。
積算価格について詳細が知りたい方は、こちらを参照してください。
土地の評価のしかたは各金融機関によって異なります。特に昨今のように土地価格が高騰している場合は、相続税路線価以上のローンが組める可能性は十分あり、それによって銀行から債務超過扱いを必ずされるというわけではありません。
相続税路線価のアルファベット
先ほどの土地の「215D」の「D」が気になった方も多いのではないでしょうか。
このアルファベットは、その土地の標準的な【借地権の割合】を示しています。
つまり、その土地に借地権が付いていた場合に、借地権の値段が土地の値段の何パーセントか、という事を示しています。それぞれ
A=90%
B=80%
C=70%
D=60%
E=50%
F=40%
G=30%
です。
相続税路線価のアルファベットは、借地権の土地に対する割合を示す
借地権は書くと長くなるので、また別途記載しますね。
では、このへんで終わりにしたいと思います。
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品川龍仁